MAG21臨床研究

臨床研究報告(3の1)

2型糖尿病患者に対するマグネシウム補充の臨床的有用性

2型糖尿病の基本病態はインスリン抵抗性(インスリン感受性の低下)とインスリン分泌不全の要素からなり、この両者の病態のアンバランスがインスリンの作用不足を引き起こし、耐糖能異常を来たします、2型糖尿病の発症には食生活の半欧米化に加えて、過食、運動不足、また、これらに基づく避難、さらには、ストレスなどが大きく関わっていることが従来から知られています。

[目的]

インスリンの分泌とインスリン抵抗性の発現機序にマグネシウム(Mg)が重要な役割を有していることが示唆されていることに注目し、糖尿病の発症にマグネシウム不足が関与するとの仮説を立てて、インスリン感受性に及ぼすマグネシウム補充効果を臨床的に検討しました。

[対象]

対象は軽症2型糖尿病で食事療法単独、あるいはインスリンを除く薬物療法をしている患者の中から全員に参加の同意を得て、血糖コントロールがほぼ安定した9症例(男性6例、女性3例)、平均年齢51.6±2.6歳です。

[方法]

マグネシウム補充療法に用いた溶液は厚生労働省が食品として認可しているオーストラリア西部の海由来のソルトレイクで作られた天然濃縮マグネシウム(MAG21)です。これはNaが0.6%と極めて少なく、マグネシウムが7.4%以上と極めて多量に含まれている天然濃縮液です。このMAG21を減菌蒸留水で希釈し、マグネシウムが100mg/100mlとなるように調整しました。飲水量は1日当たり300mlを30日間とし、飲水前後で血液生化学的分析を行いました。尚、飲水期間中は食事療法、運動療法、薬物療法の内容は変更せず、また、飲酒量も通常と変更しないこととし、インスリン感受性の指標はインスリン抵抗性指数(HOM A―IR: 空腹時血糖値(FPG×空腹時インスリン値(FIRI)/405)を用いました。測定値は平均値±標準誤差(M±S.E.)で表し、統計学的解析はPaired T検定を用い有意差はP<0.05を有意としました。

[結果]

その成績として、Mg濃度は飲水前後の血清、尿中Mg排泄率は有意(P<0.05)に増加、空腹時の血糖値(FPG)とインスリン値(FIRI)は、飲水後にFPGに有意な変化が見られませんでしたが、FIRIは有意(P<0.05)に低下しました。HOMA-IRは飲水後に有意(P<0.05)に低下し、血漿清脂質は総コレステロール(TC)及びHDL-コレステロールは飲水後も有意な変動は認めませんでしたが、中性脂肪(TG)の平均値は大きく減少しました。血圧は全対象例の平均では飲水後に有意な降圧は見られませんでしたが、高血圧合併症例に限ってみると飲水後に収縮期血圧(P<0.01)、拡張期血圧(P=0.038)、平均血圧(P<0.01)と、いずれも有意な降圧を認めました。

[総括]

軽症2型糖尿病を対象にした天然濃縮マグネシウム液(MAG21)による1ヶ月のマグネシウム補充(300mg/日)は有意にインスリン抵抗性を改善しました。血清脂質において、中性脂肪は高い症例ほどMAG21飲用により著明に低下し、高血圧合併症例では有意に降圧効果が示されました。結論として、軽症2型糖尿病に対するMAG21によるマグネシウム補充療法の臨床的有用性が示されたといえます。

Yokota, K., Kato, M., Lister, F. et al. : Clinical efficacy of magnesium supplementation in patients with type 2 diabetes. J Am Coll Nutr 23:506s·509s, 2004.

 

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臨床研究報告(3の2)

マグネシウムの脂肪細胞分化に及ぼす影響

2007年12月1日、第5回日本機能性食品医用学会総会 ~医学と機能性食品~ にお茶の水女子大学の岸本らが「マグネシウム高含有にがりの脂肪細胞分化に及ぼす影響」を発表しました。抄録は、機能性食品と薬理栄養(日本機能性食品医用学会認定誌)特集:メタボリックシンドロームの予防と治療に期待される医用機能性食品に掲載されています。

[目的]

肥満はメ夕ボリックシンドロームの診断基準の必須項目で、動脈硬化症の様々な危険因子の根本に位置しています。近年、マグネシウムの様々な抗動脈硬化作用が報告されており、その中でも特に肥満との関連が注目されている。脂肪細胞は生体内のエネルギーの貯蔵組織を構成するだけでなく、アデイポサイトカインを分泌し、糖脂質代謝やインスリン抵抗性に関与することが知られています。本研究では、マグネシウムを豊富に含むにがりの3T3-L1前駆脂肪細胞の分化に及ぼす影響とそのメカニズムを検討しました。

[方法]

3T3-L1前駆脂肪細胞にインスリン共存下、非共存下で天然濃縮マグネシウム液(MAG21)を添加し培養しました。その後、脂肪細胞分化の指標として、分化特異的遺伝子の発現量をリアルタイムRT-PCR法にて測定しました。また、PPARγ蛋白発現量をウエスタンブロッ卜法にて検出しました。糖の取り込み能は、[3H]-Deoxy-Glucoseの細胞内ヘの吸収量を液体シンチレーションカウンターで測定しました。

[結果]

インスリン非共存下でにがりを作用させたところ、PPARγのmRNA発現量はコントロールに対して、16.3倍(p<0.001)に有意に増加し、他の分化特異的遺伝子(aP2, C/EBPα等)のmRNA発現量、脂肪滴の蓄積ならびにPPARγの蛋白発現量も、同様に増加が認められましたが、糖の取り込みの促進作用は見られませんでした。一方、インスリン共存下でにがりを作用させると、インスリン単独の作用に比ベて脂肪細胞の分化は促進せず、糖の取り込み能の上昇がみられました。

[総括]

MAG21を高濃度で3T3-L1前駆脂肪細胞に作用させると、分化を促進する可能性が示されました。塩化マグネシウム溶液の作用においても同様の影響が見られたことより、にがりの分化促進作用はマグネシウムの影響が大きいことが考えられました。一方、糖の取り込みに関して、MAG21単独での促進作用は見られませんでしたが、インスリン共存下ではインスリンの作用を亢進する結果となり、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆されました。

論文:
岸本良美1 近藤(宇都)春美2 吉岡絵理1 才田恵美1 平田悠美子1 飯塚麻貴1 野本佳世子1 田口(柳澤)千惠1 貴堂としみ1 谷真理子1 横田邦信3 曽根博仁4 近藤和雄1(1お茶の水女子大・生環研、2防衛医大・第一内科、3東京慈恵会医科大・糖尿病・代謝・内分泌内科、4お茶の水女子大・生活科学) :マグネシウム高含有にがりの脂肪細胞分化に及ぼす影響.機能性食品と薬理栄養 4:353, 2007
URL:http://mag21.jp/contents/190

関連文献:
ヒト健常被検者マグネシウムの食後高脂血症に及ぼす影響
URL:http://mag21.jp/contents/244

 


臨床研究報告(3の3)

健常ヒト被検者の食後血清脂質反応に対するマグネシウムの影響

2010年、お茶の水女子大学、防衛医科大学、東京慈恵会医科大学などの研究者らは、「健常ヒト被検者の食後血清脂質反応に対するマグネシウムの影響」についての研究結果をBritish Journal of Nutritionに報告しました。

[目的]

食後の高脂血症は、動脈硬化症発症の危険因子であると認められています。疫学的な研究と動物実験では、マグネシウムの摂取量が脂質代謝を含む動脈硬化症のリスクと負の相関が示されています。本研究では、マグネシウムサプリメントの食後の血清脂質濃度(反応)に対する効果を見る目的で実施しました。

[方法]

マグネシウムサプリメントは天然濃縮マグネシウム液(MAG21)を用いました。ランダム化したクロスオーバー研究で16人の健常男性のボランティアを対象に、5mlのMAG21(500mgのマグネシウム含有)を含む群と含まない群に分けて30gのバターを摂取して貰いました。血液採取は空腹時と食後の2、3、4と6時間に行いました。食後脂質反応は、血清TAG、カイロミクロンTAG、アポB48、レムナント様粒子コレステロール(RLP-C)とNEFA濃度を測定して評価しました。

[結果]

血清と脂肪負荷後のカイロミクロン TAG反応がマグネシウムサプリメントによって減少遅延しました。アポB48(P<0.05)、RLP-C(P<0.05)、そして、NEFA(P<0.05)の濃度は、脂肪のみの食事と比較してマグネシウムによる脂肪摂取後2時間で有意に低下がみられました。

[総括]

健常者を対象としたマグネシウムサプリメント(MAG21)が脂肪吸収を抑制することで食後高脂血症を改善することが示唆されました。

論文:
Kishimoto Y, Tani M, Uto-Kondo H, Saita E, Iizuka M, Sone H, Yokota K, Kondo K. Effects of magnesium on postprandial serum lipid responses in healthy human subjects. British Journal of Nutrition 103(4):469-72, 2010 Feb; Epub 2009 Nov 27.

URL:  https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/effects-of-magnesium-on-postprandial-serum-lipid-responses-in-healthy-human-subjects/9C67E8F709F6E06ED6CA5A9E58C55271

関連文献:
マグネシウムの脂肪細胞分化に及ぼす影響 http://mag21.jp/contents/190

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